生涯学習市町村協議会フォーラム
『「空き」活用とまちづくり~廃校の利活用を考える~』レポート
2010年12月14日(火)
全国生涯学習市町村協議会が主催、当協会が共催した研究フォーラム『「空き」活用とまちづくり~廃校の利活用を考える~』を2010年12月14日、千葉県松戸市松戸の聖徳大学生涯学習社会貢献センターで行いました。
今日、わが国は長引く景気の低迷や少子化の影響で、全国各地に廃校、空き施設、空き店舗など、共有空間が未活用のまま放置されています。それらは疲弊した地域の象徴のような印象を与えてしまいかねない、大きな負の遺産として、まちづくりの課題となっています。当協会の福留理事長は、同協議会や、文科省担当官との会話をヒントに、「廃校を活用する取り組み」について考える機会を作るべきと、今回の研究フォーラムを企画しました。
文科省の調べによると、平成4年の調査開始以来、全国で5,796の公立学校が廃校になり、同21年度だけでも526の学校がその役目を終えました。平成14年度から同21年度までに廃校になったもののうち、建物が現存するのは3,310校です。それらが、社会体育施設、社会教育施設、体験交流施設、文化施設、老人福祉施設、保育所などの児童福祉施設、民間企業の工場やオフィスなど、なんらかの形で利用されているケースが、2,295校。なにも利用されていないのが全体の30.7%を占める1,015校もあります。この数はこれからますます増えるという予測があります。
当日は、共通の課題を持つ自治体関係者60人以上が、北は東北・宮城、南は九州・長崎から参加されました。
午前は、事前分科会「まちづくり事例研究・自由討論」を行い、参加者それぞれが自己紹介や、意見交換を行いました。
フォーラムは午後1時30分に開始。同協議会会長の岡部正英・栃木県佐野市長による開会のあいさつの後、第一部の文部科学省施設部施設助成課・杉浦健太郎課長補佐と、福留理事長が「地域の活性化と廃校の効果的な活用について」と題した基調提言を行いました。文科省は本年度から『~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト』をスタートしました。その主な活動は、廃校の活用方法、利用者を募集している施設の情報を集約し、ホームページ上で公表することです。その中から特長的な転用事例を紹介しながら、法規的、税制的な側面での注意点や、成功のポイントを杉浦氏に解説していただきました。
廃校の主な転用事例としては、公民館などの社会教育施設や、体育館などの社会体育施設といった公営施設への転用が多いなかで、宿泊施設や美術館、創業支援施設など、民間のアイデアを活用して生まれ変わった事例も存在しています。「廃校施設をどう活用してよいのか分からない」と悩む自治体関係者は、真剣に耳を傾けていました。
第二部は当協会の清水英男副理事長がコーディネーター役を務めて、事例研究「わがまちの廃校活用に関する現状と課題」を実施しました。全国各地の事例を4人のパネラーの方々に発表いただきました。
・「3校同時廃校に伴う施設の有効利用について」
栃木県矢板市教育委員会生涯学習課 石塚一美課長
・「自然体験施設『田舎ランド』」
栃木県那須塩原市生涯学習課 社会教育主事 吉田一志氏
・「廃校を利用した情報発信基地」
広島県尾道市 NPO法人生涯学習サポートセンターえこる.de.うふ 榊原恒司理事長
・「田辺市における廃校活用の現状と課題について」
和歌山県田辺市 真砂充敏市長
いずれの事例も地域の特色を活かし、無理のない運営で成果を挙げている好例ばかりで、示唆に富む発表でした。その中で「今、うまく行っている事業がいつか終わってしまう事業であってはならない。継続していくための努力や、新しいアイデアを反映させていくことが必要」と言う発表者の言葉が、廃校の活用が地域活性化において、チャレンジの連続であるということを物語っていました。
来場者アンケートを実施したところ、「文科省の取り組みを始めて知った」「自治体同士の情報交換ができた」「事例が参考になった」などの良い感想をいただきました。
フォーラムを総括して、福留理事長は「空きスペースの活用は、近年のまちづくりのテーマになる。廃校のみならず、空き施設、空き店舗の効果的な利用方法などを今後も研究していく」と話しています。











